損をしない、自分に合った医療保険の選び方

体調を崩したりした時に、入院が必要になった場合のお金の心配が頭によぎることはありませんか。

入院に備える場合に、まず思いつくのは「医療保険」ではないでしょうか。

医療保険は、公的な制度と民間の金融商品があります。公的医療保険制度も充実しているため、やみくもに民間の医療保険に加入する前に、自分に本当に必要な保障を考えることが大切です。

今回は、公的医療保険制度についての概要と、不足分を補うための民間医療保険の選び方について解説します。

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医療保険とは

医療保険とは、医療機関を受診して発生した入院費や手術費といった医療費について、その一部またはすべてを保険者(ここでは国や健康保険組合のこと)が給付する仕組みです。

医療保険には公的な医療保険と民間の医療保険の2種類があります。

公的医療保険制度の概要

日本は「国民皆保険」といわれており、働き方や年齢などで加入する制度が変わりますが、国民誰もが公的な医療保険に入ることを義務付けられています。

まずは、その公的医療保険制度について具体的に確認していきましょう。

公的医療保険制度の代表である「健康保険」は、主なもので5つあります。

  • 国民健康保険
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 組合健保
  • 共済組合
  • 後期高齢者医療制度

ご自身がどの健康保険に当てはまるのか、まず確認しましょう。

公的医療保険には、個人の医療費負担を軽減するためのさまざまな制度があります。内容を正しく理解し、上手に利用しましょう。

高額療養費制度

月の初めから終わりまでの1ヶ月間に病院で支払った医療費が一定金額を超えた場合、その超えた金額が支給される制度です。

高額療養費制度における自己負担額の上限は、本人の年齢や所得区分によって違います。

例えば、70歳未満の人で医療費総額が100万円、病院への支払いが30万円(自己負担3割)だった場合、

年収770万円以下の人は「80,100円+(医療費−267,000円)×1%」が月々の自己負担額の上限となります。

この場合の上限は8万7,430円なので、支払った30万円のうち21万2,570円は後から戻ってきます。

自己負担の上限が決まっていると、金額の見通しがつくので少し安心できますね。

また、高額な入院費用の負担が難しい場合は、ご自身が加入する健康保険組合で事前に「限度額適用認定証」を発行してもらうと、医療費の窓口負担が自己負担限度額までの支払いで済みます。

多数回該当

治療が長期にわたる人には「多数回該当」があります。直近12か月の間に3回以上高額療養費の対象となった場合、4回目から自己負担額の上限が引き下がる仕組みです。

住民税を払っていて年収が770万円以下であれば、医療費の額にかかわらず上限が4万4,400円になります。

傷病手当金

会社員の場合は、健康保険組合から「傷病手当金」が支給されます。

業務外の事由による病気や怪我の療養のために会社を3日間連続して休んだ後、4日目以降の休んだ日から最長1年半にわたって支給されます。

支給される金額は「支給開始日以前の継続した12ヶ月の各月の標準月額を平均した額÷30日」の3分の2になります。

なお、自営業などで国民健康保険に加入している場合は、傷病手当金の支給はありません。その点については保障が少ないため、民間の保険で補うのも一考です。

付加給付

「3.組合健保」と「4.共済組合」は、自己負担の上限をさらに下げる「付加給付」がある場合があります。

厚生労働省が組合に示している目安は1ヶ月2万5,000円ですが、実際にはそれぞれの組合が独自に上限を定めています。

保険適用されている医療費であれば、どれだけかかっても自己負担額は1ヶ月2万5,000円以下で済むという手厚い給付です。

ぜひ、ご自身の加入する健康保険組合で付加給付があるか確認してください。

子どもの医療費助成制度

医療費の自己負担額は、基本的に義務教育就学前の乳幼児は2割、小学生~70歳未満は3割です。しかし、多くの自治体で子どもの医療費を助成しています。自治体によって、親の所得制限の有無、子どもが何歳まで助成されるのかに違いがあります。

小さな子どもがいる場合は、病院にかかる機会が増えるのでありがたい制度です。

このように、公的医療保険制度はかなり充実しています。

民間の医療保険を検討する前に、ご自身の医療費の自己負担額がどの程度かシミュレーションしてみると良いですね。

公的医療保険制度については、厚生労働省のHPに詳しく記載されています。

そもそも、民間の医療保険は必要か?

日本の公的医療保険制度はかなり充実しており、医療費の自己負担額を軽減する制度が多くあります。

それでは、民間の医療保険は加入する必要があるのでしょうか。

はい、必要な人はいます。

後述する差額ベッド代にも表れているように、医療費は年々増加傾向にあります。それに比例して個人の医療費負担もおおきくなっており、民間の医療保険でカバーする事が必要な人も多いのです。

民間の医療保険に加入した方がよいと思われる人

  • 急病等に備えるための貯蓄(生活防衛資金)が十分でない人
    独身なら給料の3ヶ月分程度、扶養する家族がいれば半年~1年分程度の貯蓄があると安心。
  • 自営業者や非正規雇用、高齢者等、福利厚生や健康保険の保障が少ない人
    国民健康保険や後期高齢者医療制度では、傷病手当金や付加給付がないため保障が少なくなりがち。
  • 家族に遺伝要因が強い疾患で病気になった人がいる
    ある程度遺伝要素が強い疾患者が家族にいる場合は、将来その病気になる可能性が比較的高くなることも。
  • 手厚い医療を希望する人
    入院したら個室を利用したいと強く希望する場合などは、その費用の準備として。

民間の医療保険

では、民間の医療保険について詳しく見ていきましょう。
民間の医療保険とは、公的医療保険の不足部分を補うために保険会社が販売している金融商品です。

民間の医療保険は、他の生命保険と同じく「主契約+特約」という仕組みになっています。一般的に以下のような給付金や特約があります。

入院給付金

医療保険の主になる保障です。病気や怪我の治療目的で入院した場合に給付されるお金で「入院日額×入院日数」で計算されます。

  • 入院日額:入院1日あたり、いくら受け取れるか
  • 入院日数:1回の入院について何日目から何日目まで入院日額を受け取れるか

例:入院日額1万円で日帰り入院から給付の医療保険に加入し、10日間入院すると、1万円×10日で10万円の給付。

手術給付金

入院給付金と同様、主契約になる保障です。
病気や怪我の治療目的で手術を受けた場合に給付されるお金で「入院日額×保険会社が定めた倍率」で支払われる金額が決まります。

手術部位や入院が必要な手術かどうかの違いで、倍率は変わるケースが多いです。

近年は入院せずに外来で手術を受けてそのまま帰宅する事例も増えています。入院の有無にかかわらず給付金を受け取れる商品が安心でしょう。

通院特約

通院だけでなく、入院を伴う病気や怪我の治療で、その入院前後に通院した場合に保障されます。しかし、対象となる通院期間に制限があったり、通院すべてが対象にならなかったりする場合があるので注意が必要です。

先進医療特約

先進医療とは高度な医療技術を用いた治療法や技術のうち、公的な医療保険の対象になっていないもので、有効性や安全性について厚生労働大臣が認め、一定基準を満たしたものです。

全額自己負担で高額になるため、その自己負担額の一部を保障するものです。

しかし近年の医療技術の進歩で先進医療と呼ばれていた技術も、公的な医療保険の適用になるスピードが早くなっています。

また地方に住んでいる場合などは、先進医療が受けられる病院が限られており、通院可能範囲でないことも多いので、保障を付けても無駄になってしまう可能性もあります。

生活習慣病特約

生活習慣病の中でも、がん・心疾患・脳血管疾患を三大疾病、さらに糖尿病・高血圧性疾患・肝硬変・慢性腎不全を合わせたものを七大生活習慣病、と呼んでいます。

これらの疾病の治療目的で入院した場合に、入院日額が上乗せされたり入院日数が延長されたりする保障です。

がん特約

がんに特化して、公的な医療保険の対象にならない治療や抗がん剤、ウィッグ代など入院や療養費以外にもかかるお金をカバーする保障です。

女性疾病特約

その名の通り、女性特有の病気や女性に多い病気を対象にした保障です。乳がんや子宮筋腫・子宮頸がんなどの治療目的で入院した場合に、入院日額が上乗せされるのが一般的です。

このように、民間の医療保険には公的な医療保険の適用範囲以上の手厚い保障が選べるのが特徴です。

しかし、保険会社によって各保障の対象に違いがあるため、よく比較することが大切です。

医療保険の選び方、3つのポイント

民間の医療保険を選ぶうえで、大切なポイントが3つあります。

1.入院費用をどこまで備えるか

どのくらいの入院給付金が必要かは、公的医療保険制度でカバーされない差額ベッド代・食事代・入院中の生活費・医療費の自己負担額などを洗い出し、貯蓄で賄えない金額を考えて決めるとよいでしょう。

厚生労働省の調査によると、個室や少人数部屋を希望して利用した場合、差額ベッド代の1日あたりの平均徴収額は「6,354円」となっています。

出典:厚生労働省 令和2年9月「中央社会保険医療協議会 総会(第466回)主な選定療養にかかる報告状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000672469.pdf

また、入院給付金の支払い対象となる日数には、180日まで等の上限があります。
以前に比べ日帰り入院も増え、平均入院日数は短縮傾向にあります。日帰り入院から保障されるもので支払い限度入院日数は短めの商品を選ぶのも、一つの手ではないでしょうか。

出典:厚生労働省「平成29年 患者調査」
退院患者の平均在院日数等のうち、「年齢階級別にみた退院患者の平均在院日数の年次推移」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/03.pdf

ちなみに、がん保険や3大疾病の入院には支払限度日数が延長されたり、制限がない商品もあります。ただし、免責期間がある保険もあるので注意が必要です。

2.どんな保障に重点を置くか

民間の医療保険にはさまざまな保障が特約で用意されています。
しかし、すべての事態に備えようとすると保険料は高くなってしまいます。
自分が本当に備えておきたい保障は何かを考え、必要なものだけを選びましょう。

3.保険期間と保険料の支払い期間をどうするか

医療保険には、一般的に「定期」と「終身」の2つのタイプがあります。
定期タイプは5年や10年など、保険期間を選びます。保険期間が満了になると更新も可能ですが、更新時の年齢で保険料を再計算するため保険料は高くなります。

終身タイプには更新はなく、加入したときの年齢に合わせた保険料を支払い続けます。終身タイプの保険料支払い期間は2種類あります。

  • 保険料を一生涯払い続ける(終身払)
  • 60歳まで等、払込期間を決めその年齢まで払う(短期払)

同じ保障内容で比べた場合、保険料が安くなるのは終身払です。短期払は終身払に比べ保険料は高くなりますが、払込期間を過ぎれば保険料の支払いは無くなるため、老後の保険料の負担を抑えたい場合は有効です。

加入のタイミング

民間の医療保険を検討する時に大事なことは「健康なうちに加入する」ということです。持病や病歴があっても加入できる保険もありますが、入れる保険に制限があったり、保険料が高くなったりします。

病気や怪我は、いつなるか分からないものです。入ると決めたなら早めに手続きしましょう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についての対応

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した場合、保険会社によっては入院給付金を支払う特別措置があります。入院しなくても医療機関などの事情により、医師の指示のもと「自宅での療養」や「ホテルなどの宿泊施設や臨時施設での療養」をした場合にも入院給付金の対象になるようです。

また、新型コロナウイルス感染症に感染した場合は、医療保険の加入は難しいとしている保険会社が多いようです(一部の保険会社では条件付きで引き受けしている場合もあるようです)。

保険選びは専門家の意見を聞くのが1番の近道

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まとめ

民間の医療保険を検討する際は、まず自分が受けられる公的な医療保険制度(高額療養費制度・傷病手当金等)を知りましょう。

その上で、民間の医療保険を検討するときはまず、どんなことに備えたいかという目的をはっきりさせます。自分にとって何が一番必要な保障か整理し、優先順位を考えて加入しましょう。

健康に気を付けつつ、公的制度と貯蓄、そして民間の保険で上手に保障のバランスをとり、安心して過ごしていけるようになると良いですね。

この記事を書いた人

田端沙織
FPサテライト株式会社所属ファイナンシャルプランナー

鎌倉市出身、逗子市在住。未就学児~小学生、2男1女の母。
大学を卒業後、証券会社や運用会社に10年以上勤務し、お客様対応や相談業務・営業などに従事。3人目の子どもを産んだことをキッカケに独立し、相談者のニーズに合った、価値あるアドバイスを提供するファイナンシャルプランナーとして活動している。得意分野は資産運用。

また「キッズ・マネー・ステーション認定講師」として3歳~大学生まで、小さいころから正しいお金との付き合い方などを「楽しく・わかりやすく」教えている。

難しいお金の話を子供向けにわかりやすく伝える工夫を日々行っているおかげか、ご相談者やセミナー聴講者に「話がわかりやすく、スッと入ってくる」と好評をいただいている。