保険料が上がる前に!損しない生命保険の上手な見直し方

損しない生命保険の見直し方

「いつか生命保険を見直したいけど…」

と思いながら、タイミングがないという方は多いのではないでしょうか。

生命保険文化センターが令和元年12月に公表した生活保障に関する調査によると、生命保険に加入している人の割合は調査対象者全体の82.1%、契約の加入時に商品比較を行わなかった人の割合は加入者全体の67.9%となっています。

しかし、契約した時点では保険料や補償内容が合っていても、ライフステージに変化があれば見直す機会になるでしょう。

今回は、保障の確保と保険料の軽減を両立させるための、生命保険の上手な見直し方法とタイミングについて解説します。

※2021年10月時点の情報です

見直し前に確認すべき3つの事

保険の見直しを考えた時、すぐに保険会社や保険代理店に行って話を聞こう、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、「自分たちに必要な保障額がいくらなのか」が分からないまま話を聞いても、その保険が自分たちに合ったものか、きちんと判断することは簡単ではありません。

保険会社や保険代理店に行く前に、次にあげる3つの事をまず確認しましょう。

3つの確認
  • 将来かかる支出を知る
  • 将来の収入について考える
  • 残された家族の収入

将来かかる支出を知る

自分に万が一のことがあったとしても、残された家族は生活をしていかなくてはなりません。日々の食事や活動にお金はかかりますし、住む場所の確保も必要です。子どもがいるのであれば、学費や塾の費用などの教育費もかかってきます。

では、実際どのくらいの支出が将来にわたって発生するのか、生活費や住居費といった項目別に見ていきましょう。

1.生活費

まずは、日々生活をするのに必要となる生活費です。

総務省統計局が発表した2019年の家計調査を基に試算してみると、家賃を除いた4人家族の1ヶ月の生活費は平均で約33万円。年間で約400万円生活費としてかかるということになります。

もちろん、家族の人数や年齢、収入によって実際にかかる生活費は変わりますので、場合によっては400万円より少なく済むケースもあるかと思います。

この機会にご家庭の現在の生活費を計算してみてください。

2.住居費

続いて必要となるのは住居費ですが、住居費は持ち家か賃貸かで大きく差が出る支出となります。

現在の住まいが持ち家の場合、契約者が死亡したり高度障害状態になったりしたときに住宅ローンが残っていたとしても、ローン契約時に加入した団体信用生命保険によってローンの残額が返済され、以降のローン支払いはなくなります。

そのため、残された家族は固定資産税の支払いと、住居の維持に必要なお金だけを気にすればよくなります。

一方、賃貸の場合は、家族が亡くなった後も家賃を支払い続ける必要があります。家賃は立地や建物の築年数、広さなどで異なりますが、都内23区で2LDKのマンションを借りた場合、平均家賃は月額約19万円、年間で約230万円となります。

3.教育費

子どもがいる場合は、教育費もかかります。

では、子ども一人当たりにかかる教育費はどのくらいでしょうか。

下の図は、幼稚園から大学まで進学するとしたときの、進路別での教育費総額を示したグラフです。

※文部科学省「子どもの学習費調査(平成30年度)」、および、日本政策金融公庫「令和元年度 教育費負担の実態調査結果」を基にFPサテライトにて試算。

※大学は自宅通学、私立大学は文系に進学。

保育園から大学まですべて公立に通ったとしても約1,000万円、すべて私立だった場合は約2,500万円が教育費として必要となります。

令和元年10月1日より幼児教育・保育の無償化が始まっています。高校の授業料についてもお住まいの自治体によっては所得に応じた支援制度が使える場合があります。

実際にはもう少し安く済むかもしれませんが、塾や部活動などの費用まで考えると、子ども一人当たり1,000万円から3,000万円は準備をしておいたほうが安心かもしれません。

将来の収入について考える

万が一のことがあった時に、残された家族が得られる収入額や、公的機関からもらえるお金がどのくらいか、など収入面についても知っておく必要があります。

公的な支援

最初に確認するべきは国や自治体、健康保険組合などの公的機関からの支援です。

国民年金、または厚生年金の被保険者が亡くなった場合、残された遺族に対し遺族年金が支払われます。

亡くなった方が自営業の方の場合は、亡くなった方に生活を維持されていた「18歳到達年度の末日を経過していない子がいる配偶者またはその子」に対して、子どもが18歳に到達する年度の末日まで遺族基礎年金が支払われます。(障害のある子の場合は20歳未満まで)

支給額は決まっており、令和3年4月からは「780,900円+子の加算」の合計額となります。

子の加算額は第一子、第二子が各224,700円、第三子以降は各74,900円となるため、子どもの人数によって以下のようにもらえる金額が異なります。

  • 受給権者が妻と子ども一人、または子ども二人のみの場合
    780,900+224,700=1,005,600円(月額約83,800円)
    ※子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は第2子以降について行う
  • 妻と子ども三人の場合
    780,900+224,700+224,700+74,900=1,305,200円(月額約108,767円)

なお、子どもがいない64歳以下の配偶者や、子どもがすべて18歳以上となった64歳以下の配偶者は、遺族基礎年金を受け取れないので注意が必要です。

亡くなった方が会社員や公務員で子どもがいる場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が配偶者、または子どもに支給されます。子どもがいない場合は、遺族厚生年金のみを受け取ることができます。

残されたご家族が受け取る遺族厚生年金の金額が知りたい場合は、簡易的ですが、日本年金機構が運営する「ねんきんネット」で被保険者の方の年金見込額を試算し、その額を3/4にすることで確認することができます。

なお、遺族厚生年金の場合は子どもが18歳以上となっても、妻が40歳から65歳になるまでの間は「中高齢寡婦加算」として年額585,700円を受け取ることができます。

残された家族の収入

公的機関や勤務先からもらえるお金以外に、残された家族がどのくらい収入を得ることができるかも重要になってきます。

「すでに将来の支出を賄えるだけ貯蓄がある」

「事前に資産運用、投資を行ってきた」

「高収入のため、遺族年金や死亡退職金が高額になる」

こういったケースを除いた多くの場合、死亡等によってもらえるお金より将来の支出の方が上回ることになります。

その赤字分を補うためには、残された家族が収入を得る必要があるのです。

必要な保障額を算出する

ここまで確認してきた「将来必要となる支出額」から「公的な社会保険でもらえるお金」を差し引いた差額が、生命保険でカバーすべき保障額となります。

ただし、算出した保障額があまりに高額になる場合は、以下のような対策が取れないか検討をしたうえで、再度保障額を計算してみましょう。

  • 支出を減らす:教育プランや住居費を見直すなど
  • 収入を増やす:給与の高い仕事に転職するなど

必要となる保障額が出たら、保険会社のホームページなどで個別の商品を確認、比較してみましょう。

生命保険を見直すポイント

では実際に、どのようなポイントを比較すると良いでしょうか。以下では二つの比較ポイントをお伝えします。

月々の保険料と保障内容

必ず押さえておきたいポイントは、保険料と具体的な保障内容です。

毎月の保険料負担も小さなものではありませんから、保障内容に見合った保険で、かつ保険料ができるだけ低額なものを選びたいですよね。

近年、契約者が負担する保険料額を低くしようと、保険業界でもITを利用したベンチャーが出現しています。

新しいビジネスモデルでより年齢層を絞った保険プランの提供を行い、実際に死亡や障害が発生した時に、対象の年齢グループに属する残りのメンバーで保障金額を割り勘するといった仕組みを採っている保険会社もあります。

また、万が一の事態が発生したとき、具体的にどのような保障を受けることができるのか、よく確認しておきましょう。

本当は必要でない保障内容が含まれていた結果、保険料が高くなってしまったということがないように、上記で算定した必要な保障額と最適な保険契約の種類を見極める必要があります。

そのためにも、まずは様々な情報源から保険に関する知識を得て、様々な保険商品を知りましょう。

ライフプランとの整合性

人生には数々のライフイベントがあります。主なイベントとして、結婚、出産、教育、住宅購入、リタイアメントなどが考えられますが、多くのタイミングで出費が発生しますよね。

生命保険は万が一の事態に備えるという目的があるので、死亡、障害、病気などのリスクを考慮しますが、ライフイベントの中である程度プランニングできるものに対しても事前の備えが欠かせません。

そのような対象にも生命保険を活用してみましょう。教育費を普通に貯蓄するよりも保険によってより多く積み立てる事ができたり、健康状態を維持することで医療保険の解約返戻金を一時収入として得たりする事ができます。

ただし、支給条件や期間設定などに定めがあるものもありますので、必要なときに必要な額が得られるのか事前にしっかりチェックしておく必要はあります。

そして、確認した保障内容を今後のライフプランと照らし合わせて、もしものことがあってもプラン通りに進めることができるか今一度、確認してみます。

今は順調に人生が進んでいるように見えても、いつ何が起こるか分かりませんから、予想外のことに備える視点を持ち、保険を活用しながらライフプランニングを行っていきましょう。

見直しに最適な3つのタイミング

必要となる保障額が分かったら、あとはポイントを踏まえて見直すだけと思いがちですが、実は見直すタイミングも重要です。

タイミングを誤ると、見直したのに保障額が足りなくなったり、再度加入しなおす必要が出たり、と逆に損をしてしまう可能性があるのです。

それでは、生命保険を見直すのに最適なタイミングについてみていきましょう。

タイミング1:結婚したとき

パートナーとの結婚は人生の大きな節目であり、ライフスタイルにも大きな影響を及ぼします。生命保険に加入済みの人も、そうでない人も、一度見直す価値があります。

二人で共に生活を始めて収入と支出の額が変わったり、自分だけでなくパートナーの将来のリスクを考えたりと、今後の生活を考慮すればお金に対する考え方もより慎重になる方が多いと思います。

平成27年3月に発表された結婚・家族形成に関する意識調査によると、結婚生活を送る上での不安要素のうち「経済的に十分な生活ができるかどうか」が56.5%と2番目に多くなっています。

将来のリスクとは、ご自身やパートナーが怪我・病気をしたり、不慮の事故で障害を患ったり、予期せず死亡してしまうことなどです。

このような出来事が現実になったとき、今の時点で十分に準備できていると言えるでしょうか。

  • 各種公的年金で対象の事由が発生したときにいくら支給されるか
  • 現在健康面で懸念していることはないか
  • 将来性のある職業に就いているか

これらをふまえて将来に必要とされるであろう経費の洗い出しと、将来の収入に影響を与えるであろう出来事を中心にプランニングしていきます。

必要な保障内容と最適な生命保険プランを特定し、パートナーと一緒に良く相談して将来の備えをしておくと良いと思います。

結婚を機に、生命保険の見直しや新たな加入を検討し、将来に憂いのない生活を目指しましょう。

タイミング2:子どもが生まれたとき

子どもが生まれると、夫婦二人の生活よりお金がかかるようになります。また教育費についても考える必要がでてきます。

もしこのタイミングで配偶者が亡くなり、小さい子どもを抱え一人で仕事と生活を両立させていくことになると、非常に大変です。

厚生労働省が行った「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の平均収入は年間348万円、ボーナスがなかった場合の月額としては29万円になります。

この金額に遺族年金が加わったとしても、家族の生活費と住居費を賄うのにギリギリな金額ではないでしょうか。

さらに子どもの人数分の教育費が加わったとしたら、状況によっては子どもに進学をあきらめさせないといけないのではないか、と考えてしまうかもしれません。

しかし、子どもの教育費分だけでも生命保険でカバーできていたら、日々の生活も多少の余裕をもって過ごせるのではないでしょうか。

家族が増え、支出が増えることが予想される場合、改めて必要な保障額を計算しなおし、加入している保険の見直しをすると安心ですよね。

タイミング3:家を購入したとき

結婚して子どもが生まれると、住宅購入を考える方も多いと思います。家を購入するタイミングも保険を見直す良いタイミングです。

住宅ローンを利用して購入される方も多いと思いますが、住宅ローン利用者が対象となる団体信用生命保険という制度があります。

団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者にもしもの事が起こってローンの返済が難しくなったとき、契約者とその家族に変わってローンを返済してくれる保障のことです。

保障内容としては、死亡時や所定の高度障害となった時に住宅ローンが返済されます。その他、がん保障特約や3大疾病保障特約などを付加した団体信用生命保険を利用することもできます。

住宅ローンを利用して住宅購入を行う前に加入していた生命保険が、住居費の補填も想定した保障額だった場合、生命保険をそのままにしてしまうと必要以上に保険料を支払うことになる可能性があります。

将来の予期せぬ出来事に備える保険は必要かもしれませんが、必要以上の保険料支払いで現在の家計を圧迫してしまうことがあれば本末転倒です。

人生で大きな買い物の1つである住宅購入の際には、ご自身が加入されている生命保険に住居費の金額が想定されているかを確認し、プラン変更による保険料の減額や保険の解約を検討しましょう。

まとめ

保険の見直しを検討する際、重要になるのが保障額をいくらに設定するのか、です。

その保障額を算出するためには、残された家族が生活していくために必要となる支出がいくらなのか、労働から得る収入と公的機関や勤務先からの金銭的支援はどの程度見込めるのかを洗い出すことが必要となってきます。

また、見直すポイントと見直しのタイミングにも注意しなくてはなりません。

事前に見直すべきポイントを押さえておくことで、子どもの誕生や独立、住宅購入時に合わせて見直しを行い、保険会社や保険代理店で話を聞く時にもご自身の生活にあった最適な生命保険を見つけることができます。

残された家族を守るために長期間加入するのが生命保険です。

万が一の際に残された家族が困らないよう、正しい手順とタイミングで見直しをしてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

三上 諒子
FPサテライト株式会社所属ファイナンシャルプランナー

大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。
主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。
地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。