あなたにピッタリな火災保険の選び方 ~4つのステップと保険料を抑えるコツを紹介します~

家を持つ際に生じる「火災保険は何をいくらかければいいの?」という疑問。

家の種類や住んでいる地域によって必要な補償や金額が異なるため、単純にいくらかければ安心と言えるものではありません。

住まいの環境に合わせて、あなたに合った火災保険の選び方を見ていきましょう。

※2022年5月時点の情報です

火災保険の補償範囲はどこまで?

火災保険とは、住まいが「火災」をはじめとする被害にあった時に損害を補償する保険です。

保険特約により、火災だけでなく風災、雹(ひょう)災、雪災、水災などの自然災害や水漏れ、盗難、破損・汚損など事故的な被害も補償されます。

これらは必要に応じて、全て補償対象にすることも一部だけを組み入れることもできます。

火災保険の大まかな補償内容は次の通りです。

補償される
災害・被害
補償内容
火災自宅内での発火・失火だけでなく、放火や近隣からのもらい火による損害も補償されます。
落雷雷による火災や損傷、電気系統の損害などが補償されます。
破裂・爆発ガス漏れによる爆発、カセットコンロの破裂などが補償されます。
風災台風や暴風による屋根などの損害が補償されます。
雹(ひょう)災雹による屋根や窓ガラスの破損などの損害が補償されます。
雪災豪雪による家の損傷や、雪崩による損害などが補償されます。
水災台風や豪雨による洪水・高潮・土砂崩れなどによる損害が補償されます。
水漏れ給排水設備の損傷による浸水や、他の家からの水漏れによる水濡れなどの損害が補償されます。
盗難盗まれた家財、盗難伴う鍵や窓ガラスの損傷などが舗装されます。
破損・汚損自宅内で起きた事故による損害を補償します。
家財が対象の保険であれば、家具の移動中に誤って壁に穴があいてしまった、テレビが倒れて壊れてしまった、といった時なども補償されます。

注意しなければならないのは、地震や火山の噴火による被害です。
地震に起因する火災、液状化や津波などの水災、噴火に起因する家屋の損傷などは火災保険の対象外のため、別途地震保険に加入する必要があります。

地震保険については後ほど説明します。

火災保険の保険金額を決める4つのステップ

ステップ1:保険の対象を決める~保険の対象は大きく2つ~

火災保険の対象物は「建物」と「家財」の2つに分類されます。
火災保険では、どちらか一方だけに加入することも、両方をセットにすることも可能です。
ただし賃貸の場合は「家財」のみ加入できます。

建物

住まいの基盤である「家屋」はもちろん、屋外に付属している車庫や物置、門・塀・ポストなども建物に含まれます。

また建物内に取付けられた流し台や浴槽、屋根上のソーラーパネルなども建物に分類されます。

一方で、所有敷地内にあっても自動車や別棟の建物などは対象外です。

家財

対象の建物に収容しているタンスやテーブルなどの家具、冷蔵庫や洗濯機などの家電、衣服等、日常生活に用いる動産(建物に付いておらず、動かせるもの)のことを指します。

また特約をつけた場合に、宝石などの高額な貴金属や通貨なども補償対象になります。

ただし家財の対象であっても、建物外に持ち出しているときに損害を受けた場合は、火災保険の対象とはならないため注意が必要です。(携行品特約がある場合もあります。)

また有価証券や電子マネー、ペットなどの生き物、パソコン内のデータなどは家財の対象外です。

ステップ2:家の構造で保険料が変わる

火災保険は、家がどのような構造になっているかで保険料が変わってきます。
これは構造によって火災の被害状況が異なるためです。

木造、コンクリート造、鉄骨など建物の種類や耐火性の違い、さらに一戸建てか、マンションなどの共同住宅かを基準に、「M構造」「T構造」「H構造」の3種類に分かれ、保険料率は「M構造」<「T構造」<「H構造」の順で高くなります。

なお家の構造は、建築確認申請書や不動産取引の書類などで確認することができます。

申告した構造と実際の構造が異なると、最悪の場合、万が一の際に保険金が支払われません。しっかりと確認し、虚偽なく申告をしましょう。

ステップ3:保険金額の設定

保険金額とは、損害が発生した際に支払われる「損害保険金」のことです。
発生した損害金額は実費(実際に損害を受けた金額分)で支払われ、契約時に定めた保険金額が上限となります。
そのため、保険金額を高くすれば支払われる上限も上がりますが、その分保険料も高くなります。

また保険金は損害の実費分の支払いのため、最も被害を受けた場合の想定損害額より高額な保険金額を設定しても支払われるのは実損害額までになります。
想定される損害額と支払う保険料とのバランスを考え、どのくらいカバーするかを適切に判断しましょう。

保険金額は「建物」と「家財」とそれぞれ設定する必要があります。

建物の保険金額の決め方

建物の保険金額においては、「新価」と「時価」という2つの考え方があります。
それぞれ、建物の価値の決め方が違います。

●新価
再調達価額ともいい、“今その建物を新たに建てるとしたら、いくらかかるか”を基準に判断する価格です。 基本的には保険会社などが算出してくれます。

●時価
新築時にかかった費用から、現在に至るまでの経過年数に応じた価値を減らして判断した金額です。消耗や経年劣化などの老朽化を考慮します。

火災で建物が全焼した場合などに失った建物を再建する際、新価(再調達価額)では基本的に建て直し必要な額が支払われますが、時価だと新たに再建する費用の全額は支払われません。

そのため最近は「新価」で保険金額を決めることが主流のようです。

家財の保険金額の決め方

家財は建物と違い複数あるため、合計の保険金額を出して契約します。

ひとつひとつの家財の金額を計算する方法もありますが、一般的には世帯主の年齢と家族構成に基づく家財の合計金額の目安で簡易的に決めることが多いようです。

なお貴金属・宝石・美術品などの評価額は時価額ベースで設定され、高額な貴金属などを特約で組み入れる場合は、個別で申告する必要があります。

ステップ4:保険期間の設定

補償内容、保険金額を決めたら、保険期間を設定します。基本的に1年単位で、最長10年まで契約できます。
長期での契約ほど保険料が安くなるため、転居の予定がない場合などは、長期での契約を検討しても良いかもしれません。

なお、契約期間が満了したら、その都度更新となります。
自動継続特約に入っていれば手続きは不要ですが、それ以外の場合は手続きが必要です。
同じ保険を継続する場合も、補償内容や保険会社を変える場合も、無保険期間が生じないよう注意しましょう。

ここまで、火災保険の保険金額の算出方法を見てきました。
各保険会社のHPでは、上記までの情報でおおよその保険金額と保険料を試算し、おすすめのパッケージプランを提示してくれます。

もちろん、提示されたプランにそのまま加入することもできますが、保険料をもう少し抑えたい、もしくはもう少し補償を手厚くしたいなど、各々状況は違います。

ここからは、よりあなたに合った保険を選ぶ方法を見ていきましょう。

あなたに合った保険を選ぶ方法

家の種類・住環境で必要な補償が変わる

一口に「家」といっても、家の所在地や立地、建物構造などにより想定されるリスクは異なります。
リスクに応じて必要な補償、不要な補償を判断することで、あなたに合った無駄のない保険を作っていきましょう。

2つの家庭のパターンで見てみます。

一戸建て・4人家族・低地・川沿い

  1. 建物の必要な補償を考える
    今回は川沿いという事で水災補償は必須です。もし高台にあっても、高台の側など土砂崩れの恐れがある地域は、水災補償が必要になってきます。

     また最近では河川から離れていても、ゲリラ豪雨によって下水が溢れて浸水するという都市型の水害も増えてきています。 お住まいの市町村のホームページなどに掲載されている水害ハザードマップや土砂災害警戒地域を確認し、自宅の災害リスクを確認しましょう。
  2. 家財の保険金額を考える
    家族構成をもとに保険金額を設定する場合、例えば世帯主が35歳で、夫婦と子ども2人という4人家族としたとき目安は一般的に1,000万円程度となります。ただしこの目安金額は保険会社によっても異なりますので、この金額はあくまで目安とし、実際の状況に合わせて調整しながら決めるようにしましょう。また一戸建てはマンションなどに比べると盗難リスクが高い傾向があります。 人通りが少ない地域などでは、家財に盗難補償をセットしておくと、万が一の際に安心でしょう。
  3. 保険期間を考える
    この先しばらくは家族構成も変わらず、引越しの予定もないということであれば、長期間の契約をすることで保険料を抑えることができます。

マンション(中・高層階)・ひとり暮らし

  1. 建物の必要な補償を考える
    マンションの中・高層階の場合、浸水のリスクはあまりないと考えられるため、水災補償は外すというケースも多いようです。 ただし、給排水設備の破損や上階からの水漏れによる水濡れの被害は想定しうるため、水濡れ補償は加入しておくと安心です。また他の部屋で発生した火災によるスプリンクラーでの水濡れも、自身で保険をつけておかなければ補償されません。

    一方マンションで注意しておきたいのが風災です。突風や竜巻などが発生した場合、高層階では外部から飛んできた物がぶつかり、窓ガラスなどが割れるというリスクがあります。 周りに風をさえぎる建物が無いなどの場合、風災補償をセットしておくと安心です。
  2. 家財の保険金額を考える
    一般的に、一人暮らしの保険金額の目安は約300万円です。しかし物をあまり持たない方や、最低限の補償でいいという方は、家財保険を外す、生活に必要な最低限の家財のみの金額にするという考え方もあります。
  3. 保険期間を考える
    結婚や出産、引越しなど生活環境に変化が予想される場合、長期で保険を契約してしまうと想定されるリスクとのバランスが崩れてしまうかもしれません。1~数年単位で契約をしながら補償を見直していくのがいいのではないでしょうか。

補償の有無は各々決めることができ、それに合わせて保険料が変わっていきます。補償を増やせば保険料は上がり、補償を外せば保険料は下がります。補償の要不要は、自分の状況に照らし合わせてしっかり判断しましょう。

最後にもう一つ、加入の有無を決めなければならないものがあります。

それは「地震保険」です。

ここからは地震保険について見ていきます。

単独では加入できない地震保険

地震保険とは、火災保険では補償されない地震や津波、噴火に起因する損害を補償する保険です。
加入は自由で途中加入もできますが、地震保険単独での加入はできず必ず火災保険とセットで契約をします。
保険金額や保険期間は、セット加入した火災保険とは異なります。

地震保険の保険金額

地震保険の保険金額には制限があります。
火災保険の30~50%の範囲内で、建物5000万円、家財1000万円が上限となります。

さらに、実際に受けた損害額が実費で支払われる火災保険とは違い、地震保険は被害状況によって支払われる損害保険金額が変わってきます。
2017年1月1日の契約以降、被害の大きいほうから 「全損」「大半損」「小半損」「一部損」とされています。

なお万が一の際に支払われる損害保険金額は、それぞれ保険金額の 「全損」100%、「大半損」60%、「小半損」30%、「一部損」5%です。

地震保険の保険期間

地震保険は1年単位で最長5年間契約できます。
火災保険とは契約期間が異なる場合は、別に更新をする必要があります。

地震保険は、火災保険に任意で追加し地震や噴火、津波などに起因する損害を補償する保険です。
「災害大国」ともいわれる日本では、いつ地震などの災害が起こるかわかりません。
地震保険に加入しておけば、万一の際の安心につながるのではないでしょうか。

保険料を抑えるコツをご紹介!

保険料を抑えるには

ここまで保険の補償内容や、組み合わせ例を見てきました。
火災保険は各々プランニングすることができるため、保険料も人それぞれです。
補償を手厚くすれば保険料は上がり、補償を抑えれば保険料は下がります。

そのことを踏まえた上で、最後に保険料を調整する方法を見ていきましょう。

その(1):保険期間を長くする

「保険期間の設定」の項目でも説明した通り、保険期間を長くするほど割引率が高くなるためです。

その(2):免責金額の設定

免責金額とは、損害が発生した際に一定額までは自己負担をするという金額のことです。

例えば免責金額3万円の契約で、10万円の損害が発生した場合、保険会社からは7万円が支払われます。3万円は自己負担というわけです。

この免責金額を高く設定するほど保険料は抑えられます。

その(3):家財保険金額を少なくするorなくす

一人暮らしや子供がいない場合などで、家財がそれほど多くないというご家庭の場合は、家財補償の金額を低めに設定する、もしくは思い切って補償を外すという選択肢もあります。家財は有事の際に生活を再建するために最低限必要な金額にしておくという考え方も一つではないでしょうか。

その(4):耐震・耐火構造にする

これから家を買う予定という方は、耐震性・耐火性に注目して選ぶことで保険料を抑えることができます。

例えば、コンクリート造の共同住宅であれば、火災保険の建物の構造は保険料率が一番低いM構造になります。

また、地震保険には免震・耐震性能に応じた保険料の割引制度があります。

来年から保険料が上がる見込みです

2022年以降、各保険会社で保険料の値上げや、契約できる保険期間の短縮が予想されています。これは近年大型の台風やゲリラ豪雨などの自然災害が続き、各保険会社の収支バランスが悪化していること、また地球温暖化の影響などにより災害リスクの想定が難しくなっていることなどが要因です。

損害保険料率算出機構が2021年6月16日に発表した「火災保険参考純率改定のご案内」によると、各保険会社が火災保険の保険料を算出する基準となる「参考準率」が平均で10.9%引き上げられました。

この値がそのまま使用されるわけではありませんが、多くの保険会社で値上がりは避けられそうにありません。

そのため、もしそろそろ火災保険を見直そうと考えているなら、値上がりする前に契約をするというのも保険料負担を減らすにはいいのではないでしょうか。

最後に

あなたにピッタリな火災保険の選び方を見てきました。

自然災害が増える近年、起こりうるリスクを想定して備えておくことは大切です。

保険会社によって、特約やサービスが異なります。また住む「家」によって必要な補償も異なります。

あなたに必要な補償内容を把握し、シミュレーションを元に保険料で比べたり、各保険会社の独自サービスを比べたりすることで、自分に合った火災保険を選ぶことができるでしょう。

ぜひたくさん吟味して納得のいく火災保険を選んでくださいね。

この記事を書いた人
山口 りな
山口 りな

FPサテライト株式会社所属ファイナンシャルプランナー

約6年半テレビ山梨でアナウンサーを勤め退職。退職をきっかけにお金に関わる制度を身近に感じたことでお金や経済の勉強はじめ、FP資格を取得。

フリーアナウンサーとして活動しながらFPとしても活動中。FPアナウンサーとしてお金にまつわる知識を届けている。